「ボレ」って何?

 「ボレ」とはバリ島伝統のスパイスやハーブを擦りおろしてペーストにしたものです。ペーストそのものをボレということもあれば、ペーストを用いたマッサージのことも「ボレ」と呼ぶこともあります。

 調合するスパイス・ハーブはさまざまで、ターメリック、ジンジャー、クローブ、シナモンなどが入ることが多いですが、数十種類をブレンドすることもあります。

 バリのシャーマン(バリアン)は別名、メディスンマンとも呼ばれており、薬草の調合も行いますが、ボレもその人の体調にあった調合を行うメディスンマンもいます。

 バリのスパと言えば、「バリニーズマッサージ」が有名です。バリニーズマッサージは、バリの王宮で女性の美と健康を保つために行われてきたマッサージと言われています。バリニーズマッサージの中にボレを使ったマッサージもありますが、ボレの起源は農家で行っていた民間療法だと言われています。

 バリでは伝統的に米が作られていますが、今でも機械化はあまり進んでおらず、農作業は重労働で疲労が蓄積します。また、バリと言えば温かいというイメージですが、水に浸かった田んぼで作業をしたり、スコールなどがあると体が冷えてしまいます。そんな農家の人々が、体を温めて疲れを回復するために利用していたのが、その地域で取れるスパイスやハーブ、米などを活用した「ボレ」です。バリは日本と違い、二期作、三期作を行いますが、重労働を続けるために「ボレ」が一役買っていたのかもしれません。

ボレ・サウナとは

 ボレ・サウナとはボレを体に塗って入るサウナです。暑い地域ですので、サウナ文化はあまり発達していませんが、ボレを使ったサウナはありました。日本のような乾いた高温のサウナではなく、湿度の高いスチームサウナのようなサウナです。

 ボレを塗ることによって、サウナ自体の温度をあまり上げなくても体が温まってきます。バリ島のウブドには「ボレ・ピジャット」というスパ・サウナがあり、大変人気です。

ボレ・サウナの効果

①発汗効果

 ボレには、ターメリック、ジンジャー、シナモン、クローブ、その他にも様々なハーブやスパイスが入っています。また、塗る際にはアラックと呼ばれる蒸留酒で溶かしてから体に塗ります。

 サウナの温度自体が暑くなくても、だんだんと体がポカポカしてきて、発汗が進みます。

②美肌効果

 ボレは、さまざまなスパイスを擦り潰して作りますが、石臼で擦り潰すことで粒子があまり細かくならず、不均一となります。このような様々な大きさの粒がスクラブとなって、古い角質や皮脂などを取り除いてくれます。

 ボレ・サウナに入っていると汗が出てきますが、ボレを使って優しく肌を擦ることで、シャワーを浴びるとお肌がスベスベになります。

③リラックス効果

 体に塗っているボレですが、スチームによりサウナ全体に広がっていきます。スパイス、ハーブの効果により、リラックス効果があります。